「shiro to shiro|白と素」という個展をニューヨークのNalata Nalataで行います。海外で初めての個展となります。素材を活かすための形と、形を活かすための白を見つめ直してみました。
■「shiro to shiro|白と素」
場所|Nalata Nalata| 2 Extra Place, New York, NY 10003
会期|2019.5.17ー26
白と素|shiro to shiro
日本では元来、色をつけていないものを「素|shiro」と呼び、その後、色のない色を「白|shiro」と表しました。「白」とは、潔白、白無垢、余白と、清く汚れのないという意味があり、紙や布も「白」になる工夫を重ねてきた大事な色です。日本の国旗でも白い部分を「神聖と純潔」と表しています。また「素」は、素直、質素、素朴と着飾らないそのままの様子を表します。日本の建築や道具に現れているように、木のまま、土のまま、紙のままで、素材のままという意味とともに、道具としても必然的な機能をそのまま形にまとめた簡素な形のことも表しています。日本では、その簡素な道具を使いこなしてきた文化があることで「素」という表現が実現したのだと思います。そんな精神を持つ日本のものづくりの現場を長年駆け回っています。「何をつくる」のではなく「誰とつくる」のかを大事に思い、つくり手が得意とする、素材、技術に加え、心意気を重んじ、誇りをもって作れる環境を模索しています。そんな環境でものづくりを続けていると、素材を活かして「白と素」を目指した日本の精神にたどり着きます。木、竹、琺瑯、磁器、硝子と日本の素材を日本の職人たちが丹精込めて作り上げた「白と素」を、ぜひご覧いただければと思います。