ある絵本作家の仕事をすることになり絵本の美術館を見に行ってきました。「いわむらかずお絵本の丘美術館」は立川新庁舎の設計者で内部の家具デザインに声を掛けていただいた野沢正光さんの設計で、栃木ののどかな丘の上に建つ小さな美術館。アプローチの先にはアケビのまとわるキャノピーがあり、その先に小さな入口がある。内部は家のスケールを感じる。なによりも外部の計画がとてもよく、無造作に見えるように計画された木々や花に蝶や虫が舞い、いわむらかずおさんの絵本の世界が広がり、いまにも14ひきのねずみ達が飛び出てきそうだった。帰りにアケビをいただき帰路につく途中ふと感じたのは、ここでは「建築」を感じなかったこと。作家と作品と環境とを結びつける役目として本来の建築の姿を見たような気がする良い美術館でした。