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建築家アントニ・レイモンドの夏期の仕事場だった「夏の家」が移築され軽井沢のペイネ美術館となって25年程になります。美術館としての現在の使用状況があまり良くないため建物の痛みが目立つのが残念なところです。この建物はコルビジェのエラズリス邸計画案に酷似していると問題になったのですが図面を比べると確かに似ているものの同時代の建物で影響を受けた程度かなとも思えます。ただ実際の空間に入るとスケール感や人の居場所など、コルビジェの空間で体験した印象とたしかに酷似はしています。最近、椅子やプロダクトの類似品で苦労をしているのですが、レイモンドが「自分の為」の空間として尊敬するコルビジェの空間を影響を受け翻訳したことは工芸で言う「写し」のようなもので、「利益の為」に模倣しているコピーとは根本的に違うものだと思います。ただ最近の商業的工芸のなかでの「写し」という言葉には大きな違和感を感じます。