今年も最終日となりました。ここ数年、仕事の「質」を上げる為の作業をしています。昨年は現場の近くに出来るだけいるようにと外回りを続けましたが、今年は現場と仕事場とのバランスを取り、外回りは減ったものの、より濃密な活動となったのではないかと思っています。今年の締めくくりに眺めていた本は「吉村順三設計図集」。一枚一枚の図面が心に染み込むように納まっていきます。あとがきの吉村順三さんの言葉に「建築の完成度はその詳細図の密度にかかっている、デザインの生命である実際の寸法、比例、おさまりも詳細図でよく検討されなければならない(中略)詳細図では一本の線もおろそかに出来ない。一本の線が建築の強度、工費、工程に大いに関係を持っている。その為に詳細図をつくる過程は、建築家にとって真剣で責任のある作業で、経験と修練を最も必要とする仕事である」と記されています。この文章は20年くらい前に一度見て感銘した記憶があります。そして改めて見直すと、いま思う自分の思いがそのまま現れているようです。吉村順三さんの成果のひとつは持続する建築だったと思います。持続する為の、物理的+性能+美観が整ったものづくりを続けるには、経験と哲学と執念が必要なんです。そんなものづくりができるよう、来年も修練を重ねていきたいと思います。